先日の日曜日、お茶のお稽古先での初釜にお邪魔して来ました。楽しい暮らし研究所のメンバー与倉さんは学生の頃から茶道を続けていらっしゃるそうなのですが私はほんの数年前から、しかも月に1回のお稽古なので全くお手前が上達しませんが、ただただ美味しいお抹茶と、季節のごとに変わるおもてなしのあり方や、綺麗なお道具や飾り物を眺めるのが楽しくて通っています。
このお茶室、実は以前勤めていた事務所で設計し、担当させていただいたというご縁なのでした。
3畳と床の間だけの建物は、手のひらに乗りそうな程小さくて可愛らしいということで、建て主(今では私のお茶の先生)から”掌庵”と命名されました。
普段は広間でのお稽古なので私もこの小間に入るのは毎年このお初釜の時だけで、その度にスタッフの頃を思い出して懐かしい気持ちになります。
広間の掛け軸には”彩鳳舞丹霄”(さいほう たんしょうにまう)という言葉と金閣寺の絵がありました。
「色鮮やかな鳳凰(彩鳳)が早い朝の雲一つない澄み切った空(丹霄)に舞っている」という平和で晴れ晴れしい言葉ですが、絵の中には鳳凰も真っ青な空も描かれていません…
ここで想像力をめいいっぱい働かせてみると….
金閣寺の屋根には雪が積もっています。(…冬の朝の青空って青がより一層青いよな)
金閣寺の屋根飾りは確か鳳凰でした。(五色の鳳凰ではないけど、青の背景に金色って鮮やかで映えるよな…)ほぉぉぉ。
などと考えながら拝見しました。
青く描かれた青を見るよりも、ずっと深く青が刻まれたような気がします。
直接すぎる表現よりもそれを想わせる表現の大切さに気付かせてもらいました。
1年の始まりにとても清々しい気持ちになりました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
佐藤千恵/後藤武建築設計事務所